30㎞走はフルマラソンで自己ベストを狙う人や、フルマラソン完走を目指す人それぞれに有効なトレーニングです。 ここではなぜ30㎞走が有効なのか?その理由を解説します。
グリコーゲンを溜めこむ能力が高まる
フルマラソンを走るとき、エネルギー源として主に使われるのがグリコーゲンです。
肝臓と筋肉に貯蔵されるグリコーゲンの量を少しでも増やすために、まず体内のグリコーゲンを使い切り、一時的な枯渇状態を作ることによってより多くのグリコーゲンを体内に高めることができるようになると分かっています。
ハーフマラソンのレースでは体内に貯蔵されたグリコーゲンが枯渇状態になる前に走り終えてしまいます。30㎞走では限りなくグリコーゲンの枯渇状態に近づくといわれており、グリコーゲンを溜めこむ能力を高めるには有効なトレーニングなのです。
マラソン向きの脚づくりができる
マラソン向けの脚づくりには2つの要素があります。1つめが、長時間の運動によって眠っていた毛細血管を刺激し、体のすみずみまで血液を流すことができるようになって筋持久力を鍛えられるということが1つ。
2つめが、着地時に脚の筋肉や関節にかかる体重の約3倍とも言われる負荷に耐性を高めることです。30㎞という長い距離を走ることによって脚にかかるストレスへの耐性を高めることができます。
長時間のランニングに対する精神的な耐性がつく
運動を制限する指令を出すのは「脳」であると言われています。これまで経験したことがない長時間の運動など、「きつい」「つらい」という意識を脳がキャッチし、運動パフォーマンスにブレーキをかけてしまうことが推測できるのです。
事前に30㎞走に取り組むことで、長時間のランニングに対する心身の耐性が作られます。精神的には、距離に対する余裕を持つことができます。
※月刊ランナーズ2009年11月号より抜粋